身近な存在で親しみ深いお茶といえばコレ!「日本茶」の世界

私たちが日頃からよく口にしているお茶で基本的に「お茶」と呼んでいるのは日本茶ですよね。茶葉から淹れたものはもちろん、最近ではペットボトルでも気軽に飲めるようになりました。

お茶は、主に不発酵茶と呼ばれる緑茶の部類に入ります。「緑茶=日本茶」というイメージがありますが、日本ではチャノキの葉を発酵させない茶葉を飲むからです。

緑茶は中国でもよく飲まれているお茶です。また、イギリスにお茶が入ってきた頃は多くが緑茶であったという話もあります。

緑茶の種類は、栽培方法や製造方法などで、さまざまなものに分類されていきます。

緑茶の栽培方法は主に2種類あり、ひとつめは「露天栽培」という方法です。この栽培方法では、煎茶、番茶、蒸し製玉緑茶、ほうじ茶、玄米茶などがつくられます。

ふたつめの栽培方法は「覆下栽培」と言われて、玉露や、テン茶という部類になる抹茶などをつくるときに使われる方法です。

ここでは、緑茶の代表的なものである煎茶で、緑茶の製法を説明しましょう。

まずは、チャノキから葉を摘みます。新しい芽と若葉を摘む「一芯二葉」という方法や、葉の成長がすすんだ頃に摘む「一芯三葉」という方法があります。主に茶摘みという最初の段階です。

つぎはお茶づくりには欠かせない「蒸す」という工程です。摘まれたお茶の葉は酵素の働きによって自然発酵します。緑茶は不発酵茶なので発酵が進まないように、摘まれた葉を蒸して熱を加えます。

蒸し時間の違いで、浅蒸しや深蒸しなどと呼ばれます。浅蒸しは20秒くらい、深蒸しだと1分から2分程度の蒸し時間を要します。

蒸し終わった葉は、「葉振るい」と言われる工程に入ります。蒸したことで、茶葉の表面についた水分をなくすために行われる作業です。焙炉台に和紙を張った木の枠を乗せて熱しつつ、その上で指を使いながら茶葉を振るいます。

そして、つぎに「手揉み」と言われる工程になります。これは茶葉の細胞を壊し、味が出やすくなるようにするための作業で、ひとの手で約4時間ほど続ける場合もある工程なのだとか。

ここまでの工程でつくられた茶葉のことを「荒茶」と言います。

荒茶の最終工程が「乾燥」です。茶葉を乾燥させて水分を飛ばします。それまで80%ほどあった水分が4%から5%まで少なくなります。

お茶農家などで荒茶になった茶葉は、各自、販売するお店の工場などに出荷されます。

ここで茶葉の選別などをして、葉と茎などに分けられます。選別された茎は各お店で茎茶や棒茶というお茶として販売されます。

また、茶葉の香りを豊かにするために「火入れ乾燥」という作業をして、ここで再度、乾燥させます。新茶などは弱めに火を入れて番茶などの茶葉は香ばしさを出すために強めに熱します。

茶葉の味が決まる最終段階として「合組(ごうぐみ)」という、茶葉を交ぜ合わせてブレンドしたりする作業を行います。お茶屋さんの個性が出る工程と言われています。

合組が終わったら、いよいよパッケージされ商品となって私たちが良く知る袋詰めや缶入りのお茶となるのです。

紅茶と同じように、緑茶も産地の名前がついています。有名なのは静岡茶ですが、その他にも京都の宇治茶や関東地方には狭山茶などもあり、色や香り、味わいもさまざまです。

日本で飲まれている一般的な緑茶と、少しだけ製法が違うことで知られているのは佐賀県のお茶である「嬉野茶」。嬉野茶は中国で緑茶を製造する際に使われている「炒る」という工程を使って作るお茶です。

緑茶でも製法の違いや産地で、いろいろな味や香りを楽しむことができるので、いつも飲んでいるお茶のほかに、全国それぞれでとれたお茶も試してみるもおすすめですね。