身近だからこそ知らないことが多かった「世界のミルクティー」事情

紅茶をストレートで淹れるブラックティーは香りが立ち、とても美味しいです。

でも、ブラックティーに牛乳などの乳製品を加えてミルクティーとして飲むのも、とても美味しい紅茶の飲み方のひとつですよね。

お茶に乳製品などを加えて飲むという風習は基本的に昔の日本や中国にはありません。元々はモンゴルなどで飲まれていたお茶を飲む方法だったと言われています。

そして現在、日本で多く飲まれているミルクティーはイギリスのスタイルです。

中国から渡ってきた紅茶はイギリスのひとたちの心を掴みました。当時の紅茶は、香りと渋みが強いお茶でした。その渋みを活かして美味しく飲むためにイギリスのひとたちは紅茶に牛乳を入れたのです。

ミルクティーの淹れ方は、基本的にはストレートで淹れた紅茶にミルクをそそぐだけです。ミルクを先にそそぐか否かというのは賛否両論ありますが、一番、紅茶を好んでいるイギリスの「王立化学協会」では「ミルクを先に入れるべき」とされています。

ミルクを先に入れる紅茶を「MIF」、ミルクを後に入れるものを「MIA」と言ったりします。

ミルクを先に入れるとカップに紅茶の茶渋が付きにくくなるという利点もあります。また繊細な器に熱湯をそそぐことで壊れてしまわないように、という意味もあるのだそうです。

ミルクティーを淹れるときに適している紅茶の茶葉はアッサムやウバ、ケニア産などの味がしっかりとした茶葉がおすすめです。逆に不向きな茶葉はダージリンです。

コクがあって渋みが少ないミルクティーが飲みたい場合はアッサム、渋みが強く香りが高いミルクティーが好きなひとにはウバをおすすめします。

ミルクは「低温殺菌牛乳」が適していて、日本の場合は成分調整牛乳が良いと言われています。お好みで砂糖を入れると美味しくなります。

最近、人気が出ている「チャイ」もミルクティーの一種ですね。

チャイはインドで飲まれているお茶で、日本では茶葉を水や牛乳で煮出してシナモンなどスパイスを加えたものをチャイと呼んでいます。適している茶葉はアッサムやウバ。

また、セイロンティーが有名なスリランカでも「キリテー」というミルクティーがあります。「キリ」はミルクのことだそうです。小さめの茶葉にコンデンスミルクや粉ミルクなどを入れて飲む紅茶です。

イギリスでは現在でも、紅茶は多くのひとがミルクティーで飲んでいるのだそうです。

ちなみにミルクティーの中でも人気が高い「ロイヤルミルクティー」はイギリスで飲まれているミルクティーではありません。いわゆる和製英語です。

ブラックティーにミルクをそそぐという作り方ではなく、チャイと同じように茶葉を牛乳で煮出す方法でつくられたものがロイヤルミルクティーです。熱した牛乳を沸騰させないようにするのがポイントです。

牛乳などの乳製品を入れるお茶は紅茶だけに限らず、最近では日本茶のほうじ茶にミルクを加えるほうじ茶ラテや抹茶にミルクを入れて抹茶ラテとして飲んだりします。

香港でもミルクティーは飲まれていて、日本のように牛乳ではなくエバミルクを入れているお店が多いです。エバミルクとは無糖練乳のことです。また、台湾などではミルクティーにタピオカを入れたものが人気です。

ミルクティーに向いている茶葉はアッサムやウバの他にも、ディンブラという茶葉もコクがあって美味しいミルクティーが淹れられます。ちょっと変わった香りの一杯が飲みたいときには中国が産地のキーマンや、フレーバーティーもいいでしょう。

お店だけでなくペットボトルでも気軽に飲めるので、すっかり身近な飲み物になっている「ミルクティー」ですが地域でいろいろなミルクティーがあるんですね。